らんぶるライフ はてな版

ボクシングの事書いてます

慢性拳闘症

 
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 今回は香川照之の「慢性拳闘症」の紹介を。
 
 この本は基本、香川が映画「あしたのジョー」に出演した時のエピソードを面白おかしく紹介してる。
 
 香川照之が熱烈なボクシングファンだということはボクシングファンなら知ってると思うが、本当に異常なほどにボクシングに対する思い入れを持っている。
 だが、ボクシングファンはボクシング漫画を嫌う人も多い。
 リアリティーがなさすぎるからというのがたいていの理由だと思うけど、オイラのように漫画(あしたのジョー)からボクシングに入った人間を覗いてボクシングやってる人もあんまりボクシング漫画読まない人多いようですな。
 だから香川は出演にあたって初めて「あしたのジョー」を読むのだった。
 
 香川がボクシング好きになったきっかけは中学の同級生が熱烈なボクシングファンだったからただそれだけ。
 この同級生は現在ラスベガスに住みボクシングのビッグファイトを獲り続けるカメラマンになったと書いてるので全米ボクシング記者協会の最優秀写真賞 2年連続日本人が受賞 という記事の福田直樹さんのことかな?
 そうだったらその中学校、日本ボクシングの歴史に残るマニアを二人も生んだ中学ってことになるな(笑)
 香川少年は勉強そっちのけでボクサーの戦績やランキング表を暗記していたらしいのだが、そんなことしてても東大にはいるんやから凄い人やな。
 もしかしたらボクシングの事覚えるために頭が磨かれて東大に入るぐらいの頭脳を養われたのか?(笑)
 香川少年はボクシングを愛しのめり込みすべてをそれに費やしていた、そうすべてをボクシングを”観る”ことに!
 オイラの様なボクシングを始めてしまった人間にはなぜ?って思うけど映画ファンがすべて俳優や監督を目指すわけでは無いように観る楽しみとやるということはまったく別物という事なんでしょうな。
 オイラが始めたのはボクシングを観るのが好きだったわけじゃなくボクシングの世界に自ら身を置き”ボクサー”というものになりたかったから。
 
 香川は語る、なぜ自分がこうまでこのスポーツを愛し魅せられるのか?
 そこにあるのは野蛮な戦いではなく「スィートサイエンス」=甘美な科学である。
 あしたのジョーが嫌いな理由はその「根性」を賛美するような世界観。
 リングに上がる時点で根性はボクサーに標準装備されてるものであってそれを改めて強調し最後の切り札という考えが蔓延してる世界観に違和感を覚えるのだ。
 世界のボクシングを観続ける香川は世界の強豪が最後の切り札「根性」で切り抜ける姿など皆無と言い切る。
 
 そんな香川だったがあしたのジョー撮影が近付くにつれ、この漫画の影響力の高さに気付かされていく。
 丹下段平役に決まってから色々な人から何かと聞かれるのだった。
 その思い入れは本当にみんな強く本当に国民的漫画だということを改めて思い知らされるのだった。
 この漫画に影響され続けてる人間の多さに気付かされ丹下段平のメーキャップを原作どうりにすることを決める香川。
 昭和40年代のリアルなセット、シリアスな他の出演者に交じってのあの段平メイクは浮くだろうと反対されたりもするがその意志を押し通すのだった!
 
 映画にはボクシングアドバイザーとして正式にキッズリータンでもボクシング指導を行っていた梅津正彦トレーナーが付いているのだが、香川は梅津トレーナーとともに自らボクシングアドバイザーを買って出て梅津トレーナーとの信頼を深めていく。
 丈役の山下や力石役の伊勢谷に色々指導をし、まさに段平と化していくのだった。
 
 この本、面白いです。
 ボクシングマニア的にもにニヤリとさせられるところがあるんやけどさすがに香川!オイラにもわからないような選手の名前(昔の世界ランカーとか)出して来てそのマニアックぶりに笑わせていただきましたわ。
 まぁちゃんと解説があるんでマニアじゃない人にもわかるようになってます。