O君へのラブレターと俺のざんげ
まさかこいつがラブレターなんて貰うなんて思っても見なかった。
こいつとは俺の友人のO君だが、別に不細工ではないのだが、いかんせん暗く、女の子には不人気だっ
た。
正直、<何でこいつが>と思ったもんである。
でも内容を読んでみるとクラスの女の子にからかわれているのがすぐにわかった。
(そういえば、俺の部屋に入ってくるなり、投げ捨てるように手紙を渡したし、こいつもわかって怒って
るんやな。)
手紙の差出人は「M]となっていた。
うちのクラスのバカ女グループも全員イニシャルにMがついていた。
「はは~ん、そういうことか、返事くれって書いてるしやり返そうぜ!」
やたら人事になると張り切る俺だった。
手紙の返事は俺が書くことにした。
はじめは相手をおちょくっているつもりで書いていたのだが、だんだんO君のキャラクターを思いっき
りデフォルメしてとんでもない手紙を書いてしまった。
七十年代青春ドラマ風ネクラ少年の語りといった感じの手紙である。
これをO君に写させ(今思えば良くこんな内容を許したとおもうが)次の日に出すということになっ
た。
もう次の日が楽しみで仕方なかった。
あくる日の授業中いきなり隣の女の子(Mの仲間とみられる)から手紙の裏に書いた待ち合わせ場所を
それとなく聞かれた。
(O君はだしたのか?)
休み時間にO君に尋ねたが出してないらしい。
どうやら体育の授業中にO君のカバンを探って手紙を見たらしい。
よくよく考えてみると、トンでもない奴らである。
結局O君は手紙を出さなかった。
それでも待ち合わせ場所に行って見たが、やっぱり来ていなかった。
このO君のラブレター事件はM達が悪い奴らだということで俺たちの中で終わらせていた。
だが、意外なところでこのラブレター事件は生き残っていた。
クラスの卒業文集の中で「夕日君のこと」という作文が載っていたのだが、その作文は明らかにO君の
事をバカにして書かれていたのだ。
なぜ「夕日君」なのかというと、俺が書いた手紙の中で、
「好きなんだ、夕日が」
というようなことを書いたからである。
この文集を読んで意味がわかるのは、俺とO君とMたちだけだろう。
O君には本当に悪いことをしたと思う。
ただあのラブレターはいまだに傑作だと思ってるけど。
<了>
解説
これはオイラが中学三年の時の話である。
ラブレターというお題目が出されたから書いた文章だ。
しかし、オイラの性格の悪さがわかるよなぁ。
O君とはオイラが全寮制の高校に行った事もあって中学限定の友達になったからもう付き合いはない。
それでもうわさは聞くし、共通の友人の結婚式で会ったりもした。
モテそうにないと書いたが、高校に行ってからバンドをしたりしてオイラよりはモテてたようである。
高校卒業後も女と暮らしてたみたいやし。
まぁ、オイラは男子高(ほんの少し女子はいたが)だったのでモテたら困るが。
現在のO君は、かに料理屋で働きながら、自分でバーを開いて相変わらず音楽活動をしてるらしい。
会った時しきりに俺らはアウトローだということを強調してたな。
俺はあまり仲間にして欲しくなかったけけど。
こいつとは俺の友人のO君だが、別に不細工ではないのだが、いかんせん暗く、女の子には不人気だっ
た。
正直、<何でこいつが>と思ったもんである。
でも内容を読んでみるとクラスの女の子にからかわれているのがすぐにわかった。
(そういえば、俺の部屋に入ってくるなり、投げ捨てるように手紙を渡したし、こいつもわかって怒って
るんやな。)
手紙の差出人は「M]となっていた。
うちのクラスのバカ女グループも全員イニシャルにMがついていた。
「はは~ん、そういうことか、返事くれって書いてるしやり返そうぜ!」
やたら人事になると張り切る俺だった。
手紙の返事は俺が書くことにした。
はじめは相手をおちょくっているつもりで書いていたのだが、だんだんO君のキャラクターを思いっき
りデフォルメしてとんでもない手紙を書いてしまった。
七十年代青春ドラマ風ネクラ少年の語りといった感じの手紙である。
これをO君に写させ(今思えば良くこんな内容を許したとおもうが)次の日に出すということになっ
た。
もう次の日が楽しみで仕方なかった。
あくる日の授業中いきなり隣の女の子(Mの仲間とみられる)から手紙の裏に書いた待ち合わせ場所を
それとなく聞かれた。
(O君はだしたのか?)
休み時間にO君に尋ねたが出してないらしい。
どうやら体育の授業中にO君のカバンを探って手紙を見たらしい。
よくよく考えてみると、トンでもない奴らである。
結局O君は手紙を出さなかった。
それでも待ち合わせ場所に行って見たが、やっぱり来ていなかった。
このO君のラブレター事件はM達が悪い奴らだということで俺たちの中で終わらせていた。
だが、意外なところでこのラブレター事件は生き残っていた。
クラスの卒業文集の中で「夕日君のこと」という作文が載っていたのだが、その作文は明らかにO君の
事をバカにして書かれていたのだ。
なぜ「夕日君」なのかというと、俺が書いた手紙の中で、
「好きなんだ、夕日が」
というようなことを書いたからである。
この文集を読んで意味がわかるのは、俺とO君とMたちだけだろう。
O君には本当に悪いことをしたと思う。
ただあのラブレターはいまだに傑作だと思ってるけど。
<了>
解説
これはオイラが中学三年の時の話である。
ラブレターというお題目が出されたから書いた文章だ。
しかし、オイラの性格の悪さがわかるよなぁ。
O君とはオイラが全寮制の高校に行った事もあって中学限定の友達になったからもう付き合いはない。
それでもうわさは聞くし、共通の友人の結婚式で会ったりもした。
モテそうにないと書いたが、高校に行ってからバンドをしたりしてオイラよりはモテてたようである。
高校卒業後も女と暮らしてたみたいやし。
まぁ、オイラは男子高(ほんの少し女子はいたが)だったのでモテたら困るが。
現在のO君は、かに料理屋で働きながら、自分でバーを開いて相変わらず音楽活動をしてるらしい。
会った時しきりに俺らはアウトローだということを強調してたな。
俺はあまり仲間にして欲しくなかったけけど。