探偵Kの仕事
いつだってあの社長(おっさん)の仕事はよくわからない。
今日だっていきなり電話で呼び出して
「こいつの写真を撮って来い」
なんて一言で言って、依頼内容も言ってくれない。
逆らっても仕方ないので、スゴスゴと、現場に向かうのだが、思い出すと腹が立ってくる。
おまけに、仕事に慣れない俺に、何も仕事のやり方を教えず、手渡したカメラは、やたらとバカデカイ
写真家達が使っている様なカメラだ。
「こんなもので、どうやって、相手に見つからず写真撮るんだよ、クソッ!」
現場に向かうバイクの上で一人愚痴を言ってしまう。
ターゲットは、車の整備工場で働いている25歳の若者ということだ。
とりあえず工場の近くにバイクを止める。
現場に行ってターゲット確認だ。
工場の前を通行人のふりをして歩いて行き、中を覗くとどう見ても十代の若造しかいなかった。
「まだ来てないな」
少しほっとする。
工場が見える位置に隠れていると、車が近くに止まった。
車から出てきた男は、妙にふけた顔をした、大柄でいかつく怖そうな男だった。
車のナンバーを確かめると、ターゲットの車だった。
<やばいな、こんな奴にみつかったら、どうすりゃいいんだ>
仕事なれしてない上に、バレたらやばいと言う気持ちで緊張感が高まってゆく。
働いているところはうまく写真を撮れないので、昼食をとりに行くまで待機だ。
昼過ぎにターゲットは車に乗り込み、車は移動した。
行動開始だ。
すばやくバイクに乗り、尾行開始する。
しかし、見つかったらやばいという意識が、車との距離を広げて、すぐに見失ってしまった。
続く