はぐれ者 悪魔と戦ったボクサー、川崎タツキの半生
今回は、川崎タツキさんのノンフィクション、元ボクシングマガジン編集長でWOWOWでもたまに解説(ジョーさんが休みのとき)している原功さんの「はぐれ者 悪魔と戦ったボクサー、川崎タツキの半生」の紹介を。
川崎さんは、刺青を消した元暴力団のボクサーとして話題になった人なんで知ってる人も多いでしょうなぁ。
最近アウトサイダーだとか地下格闘技とかだが微妙に盛り上がっているようですがアウトローの世界に一度でも身を置いた人たちが本当のスポットライトを浴びるにはそれなりのリスクが必要だとオイラは考えているので刺青入れたままリングで戦うアングラな地下格闘技のノリはオイラは好きになれません…
JBCは刺青を消さないとプロボクサーの受験資格を与えないという決まりを作ってるので川崎さんは手術で刺青を消したのだか、その費用は仲間たちのカンパで補われた。
では、本の内容の紹介を。
元不良のボクサーの伝記や自伝って不良自慢だったり、単純にサクセスだったりが多いんですがこの本はすさまじい地獄からの脱出と本当の愛が描かれた読み応えのある本やった。
その経歴には似合わない無垢で純粋で人懐っこい人柄に危うさを感じながらも興味を惹かれた原さんはその壮絶な半生の取材を始める。
父、母、姉、妹の五人家族の長男として育った川崎は子どもの頃から大柄で腕力が強くガキ大将だった。
小学4年生の時に母親が他界、それがショックで父親のお酒の量も増え中学生になると川崎は父親に反抗するようになりどんどん不良の道へ…
川崎は竜希という名前からタンタンという可愛らしいあだ名なのだが(現在も)その愛らしいニックネームに似合わない最強の不良として県外でも有名になっていく。
その勇名を聞き及んだ組事務所の人間がスカウトに!
そのまま川崎は組事務所に出入りするようになるのだった…
組事務所に入り浸る前に草加有沢ジムに通っていた時期があったが当時中学生だった川崎だがその才能は際立っていたようである。
タラ、レバ言っても仕方ないけど暴力団に入らないでこのままボクシングを続けていたら世界挑戦だって夢じゃなく日本タイトルなら確実に獲っていたんじゃないかとジムの人も言ってるぐらいの才能だったよう。
しかし暴力事件で少年院に入るなどのこともありジムからは遠ざかっていく…
少年院を出所した後、組事務所に戻り、背中に刺青を入れる、16歳のことだった。
そして17歳の時に拳銃不法所持の容疑で拘置、またも少年院に。
出所して電気の配線工事の仕事に就くが心は任侠の世界で一旗揚げるということを夢見た少年は凄くよくしてくれた仕事場の人たちと保護司の人に思いを打ち明ける。
常識で考えると反対されるのはわかりきってるんやけど良い人たちを裏切れないという川崎の人の好さというか純粋さが起こさせた行動でしょう、保護司をその純粋さで説得するのだった(笑)
組に戻り、親分の車の運転手という大出世を果たす川崎!
そしてこの当時に運命の女性と出会う、後の奥さん優香さんである。
母親のスナックを手伝っていた優香さんに連日店に通いアピール。
店に来ていた父親に直訴して許しを得るのだった。
この時期にも川崎は親分の許可を得て三迫ジムに通っていたが組の問題で練習に行けなくなり自然消滅するのだった…
そんな時、知人よりクスリの入所を頼まれる。
ヤクザ=麻薬と思われがちだが実際組で禁止してるところは多いようである、川崎の組でも同様、禁止されてはいたがコネを使って入手、好奇心から自らも手を出してしまうのだった。
最終的に覚せい剤に落ち着いた川崎は芸術家気取りで部屋に引きこもり奇妙なオブジェを作り続ける(当時撮影されたビデオはテレビのドキュメントでも放映された)。
クスリにハマったことを正直に優香さんに告白する川崎。
普通ならそこで別れるのが普通でしょうが優香さんはわかれなかった。
しかし家主とトラブった川崎が夜逃げ同然で家を出ていき音信不通に…
ここからが川崎がクスリにハマって色々な幻覚に悩まされたトラブルが描かれているがこれは本を読んでもらいたいですな。
姉の家に転がり込んだ川崎はとうとう自殺未遂を起こしてしまう。
心配した姉が精神病院に連れて行き、薬物リハビリ施設を紹介してもらいそこに行くことに。
沖縄にある沖縄ダルクという施設に入ることになった川崎は沖縄にに行きそのリハビリ施設で生活することに。
1年間のリハビリ期間を終えた川崎は沖縄に残ることを考え姉に電話を。
そこで意外なことを告げられる。
「優香が待っている」
思いがけないことを聞かされた川崎はすぐに東京に帰るのだった。
東京に戻り、父親が癌であることを告げられた川崎は真面目に働いて父親を安心させること(やくざの世界から足を洗うこと)を心に誓う。
そんな時、偶然昔の友人と再会近くで仲間と飲んでるということでそこへ向かう。
そこには昔通った草加有沢ジムの会長の息子、有沢兄弟が。
懐かしい面々との再会で再び交流が始まったある日、もう一度ボクシングに挑戦することを勧められる。
優香さんの許可を得て、トレーニングを開始!
体力も戻り、いよいよジム通いの為に許可をもらうために有沢兄弟が父である会長に刺青のある川崎の入門許可を涙ながらに訴え許可をえるのだった!
友人、知人よりのカンパで手術費200万をねん出、刺青を除去の手術をした川崎はジム入会の一年半後、プロテストを受けJBC認可のプロボクサーとなるのだった。
28歳というボクサーとしてはかなり遅い出発だがそこから川崎タツキの活躍がはじまるのであった。
この本を読んでめっちゃ川崎タツキという人に興味が出てきた。
読む前からいろいろな記事で人柄なんかもちょこちょこ読んでたんやけどこういう壮絶な人生を送ってきた人やけどめちゃくちゃピュアな人という印象が本や記事でわかった。
で、オイラのタイでのボクシング仲間YAMADA君が知り合いというので会わせてくれってずっと頼んでたんですが実現しました!
ということでその時のことはまた記事にします。