挑戦者 チャレンジャー (本宮ひろ志)
今回は本宮ひろ志の「挑戦者 チャレンジャー」の紹介を。
これは本宮ひろ志傑作選の26巻におさめられた160ページほどの中編。
主人公、中本拳は男三人、女の一人の兄弟の3番目。
上の二人の兄は二人ともボクサー。
父親は元ボクサーで息子をボクサーに育てあげているのだ。
しかし一番上の兄、栄は完全にパンチドランカーになり引退して叔父のラ
ーメン屋で働いている。
すでに引退してることもわからないで次の試合を待ってる重度のパンチドラン
カーとなっている…
二男の勝利はボクシングの才能はなく勝ったり負けたり…
そんな兄達の姿を見て拳はボクシングと距離を置いてるのだった。
そんなときに勝利が世界ランキング5位のナポレオン大和と試合を組まれる。
いかにも咬ませ犬としての扱いだが勝利は自分が世界ランカーにとってかわ
る夢を見てリングに上がるのだった。
しかし試合で悲劇が…
試合でノックアウト負けをした勝利はそのまま帰らぬ人に…
そんな試合を組んだ父親が許せなくて家を出ていく拳!
1年が過ぎ、拳の恋人だった松下里美は拳が家出をしたせいで一人さびしくしてる時にナポレオン大和が近づいてくる。(大和は里美の家で里美と出会い一目ぼれしていた)
大和は里美を世界タイトルマッチに招待し見事に勝利をおさめ祝勝パーティ
ーの帰りにプロポーズを。
その頃、拳の父親はボクシング関係者にあるボクサーを紹介される。
ダイナマイト剣と名乗るボクサーだったがそれは姿が変わりきってしまった拳だったっだ。
家出をして彷徨ってる時にいざこざに巻き込まれ顔に大きな傷を負い、自分
と言う人間を捨てるために髪の毛を剃りあげて兄たちの仇をとるためにボクシングを始めていた拳。
父親をトレーナーに、快進撃を続ける拳!
大和は会社社長の息子、里美も松下財閥の娘とお互いの両親も認めるカップ
ルになっていた2人の前に偶然、拳が。
里美はすぐに気づくのだが自分を捨てた拳は大和との事をおめでとうと言っ
て去る。
大和よりも一階級下だった拳は階級を上げ世界ランカーを倒し、そのリング
上で大和に挑戦宣言!
タイトルマッチが決まるのだった。
タイトルマッチが決まるのだった。
試合前に里美に本当のプロポーズをする大和。
しかし拳の事が気になる里美は返事が出来ない。
それに気づいた大和は試合で拳を叩きのめして里美に近づけないようにすると
宣言。
そして試合当日・・・
しかし、実力差は歴然。滅多打ちにされる拳!
それでもめげずにあきらめない拳。
千分の一のチャンス、そのチャンスを自分から投げ出したらゼロなのだ。
額の古傷から大量の出血をする拳。
その時に偶然その血が大和の目に。
一瞬視力を失った大和の顎に拳のパンチが飲めり込む!
そのまま失神する大和・・・
拳は世界チャンピオンになるがそのまま引退、チャンピオンベルトを親父に
渡してリングを去っていく。
控室に戻っていく拳に里美は変わり果てた姿になったが本来の拳に戻ってと愛を告白するのだった…
END
偶然やけどこの家族構成、亀田家と同じです(笑)
奥さんいなくて男3人と末娘一人やからな~
まぁ亀田兄弟が出てくるだいぶ前に描かれた作品なんで参考にしたとか言う
のは全然ありません、単なる偶然すわ。
本宮ひろ志は硬派漫画の作者ってイメージで売ってるけど、実際は漫画のコ
ンセプトは少女漫画のコンセプトらしいな~(硬派銀次郎のことね)
恋愛を少年漫画に大いに取り込んだのも本宮がやりだしたらしいから。
で、自身も不良で喧嘩もしてたんで喧嘩漫画もよく描くけどこの人基本スポ
ーツマンじゃないんで、ボクシングの魅力とかは全然描けてないなぁ~
パンチドランカーとかリング過とかボクシングの悲劇的な所にスポットを当
てて肝心のボクシングというスポーツの魅力について描かないから親父が息子
をチャンピオンにしたいという気持ちも伝わらないし、死んだりドランカーに
なった兄貴はみじめなだけである。
絶対それは違うと思うのだ。
親父にやらされたからと言ってボクシングに魅力がなければ途中で投げ出す
やろうし、亡くなったりドランカーになっても可哀そうと一方的に思われるの
はその人たちに失礼と思う。
リングに上がる魅力、そこで燃え尽きる快感というのは確かにあるんやか
ら。
何も親父のためにだけやってるわけちゃうしな。
ただ、エリートボクサーナポレオン大和がたたき上げの拳にやられて恋人も
返ってくるというラストは読者のカタルシスを満足させる旨い作りですなぁ~