あしたのジョーは死んだのか
今回は、朝稲日出夫の小説、「あしたのジョーは死んだのか」の紹介を。
一見、この題名を見るとジョーが死んだかどうかの探求本みたいに思えるがこれは普通の青春小説です
わ。
この小説は、1978年に「第14回太宰治賞優秀作」というのを取ったみたい。
オイラ、子供の時に本屋でこの本を見かけて凄く気になったもんやった。
中身を見たけど、字ばっかりで良くわからんのでパラパラ見ただけやったけど。
それから25年はたってたやろうけど、古本屋で100円で売ってたので買ってみた。
内容は、主人公”司郎”の日常を淡々と描いてるだけの青春小説だった。
高校を卒業し、浪人中の司郎は土木作業員の日雇いバイトをしながら予備校にも行かずにバイトの休み
の日には合気道の道場に通って汗を流してる。
立松さんも、青春時代にドヤに寝泊りして肉体労働に励んでいたらしいのだ。
70年代という時代はそういう時代やったんやな~
主人公は、道場の後輩の大学生と哲学書についての話をしたりするんやけど、当時のインテリは、妙に
自分に厳しいというかストイックで小難しい生き方を望んでるんやよな(笑)
この小説の題名の由来は、主人公が高校時代に、「あしたのジョー」の連載が終了し、友人同士で丈が
死んだかどうかの議論がされたシーンから。
この主人公は、「矢吹丈、死亡説」を推してる。
小説の中で、娼婦に誘われるも500円しかなくあきらめざるを得なかった後に
「いいんだ、ジョーなんか女も知らずに死んだんじゃないか」
というのだ。
友達の論議の中でも、丈は生きていたらパンチドランカーで廃人同様、悲惨過ぎるから死んだんだ
って結論に達してた。
もう一つ、死亡説を唱える理由は力石が死んだ後に丈がフラフラしてる時、葉子に
「あなたはリングで死ぬべき人間だ」
ッて言われてるんやよな。
めちゃくちゃ言う女やよな~
それりぁ、自分が可愛がってたボクサー死なされた相手がブラブラしてたらむかつくかも知れんけど傷
ついてるのはボクサーも同じやん・・・
正直、オイラも昔は「矢吹丈、死亡説」を信じてた。
何よりもそのほうが美しいと感じてたから。
だから現役時代はリングで死ぬのはある意味理想みたいな考えを持ってたところがあった。
今はそんな風にはまるで思ってませんが・・・
守るって感じやったらしいけど、ちばてつやがあのラストに書き換えたらしい。
梶原一騎の描く漫画のラスト、主人公が死んだり悲惨な目にあって終わるのが多いのだ。
を負ってしまっている。
そういう話を書いてきた人のラストにしてみたらちょっとやわらかい印象を受けるけど現実を考えると
悲惨かな?
ただ、パンチドランカーって、時間がたつとある程度は緩和されるらしく、晩年のたこ八郎もちゃんとしゃべれてた
みたいやし。
社会生活営んでいく上ではどうにかなるんちゃうかな?
まぁ物忘れめちゃくちゃ激しいから一般的な仕事には向かないかもしれんけど(笑)
まぁ、丈が生きてたか死んでしまったかについては色んな意見もあるし、個人の思い入れもあるか
ら今度投票でもやってみるつもりです。
作者のちばてつや自身は前向きにとらえてほしい発言をしてましたがはっきりとは言及してないし、作
品というものは、発表されたら読者のものと思うんでそれぞれの意見が正しいと言っても良いと思う。
ちなみにオイラは今は「矢吹丈、生存説」を推してます。