Big Hearts ジョーのいない時代に生まれて
今回は林明輝の「Big Hearts ジョーのいない時代に生まれて」の紹介を。
秋田裕司はアーバンボクシングジムの会長。
先代の会長の父が亡くなったので受け継いだのだ。
都内の一等地にあるので経営状態は良いがサラリーマンのフィットネスジム状態で現在プロの選手はいない。
自身は元日本ランカーのボクサーだったがお客様の為のジム経営で退屈していた。
そんな時に、一人の入会希望者が現れる。
サラリーマン風の青年を試しでロープを飛ばさせるとアマ経験者だった。
彼の名は保谷栄一、仕事のプレゼン中に嘔吐してしまいそのまま仕事を辞めてボクシングジムに飛び込んだのだった…
何もかも忘れたい、没頭したいという願いにこたえるために栄一を鍛えぬく秋田。
ジムの練習生でメジャーデビューが決まった歌手、古谷カオリも驚くほどの集中力を見せる栄一。
そのセンスに感じ入った秋田は栄一にプロになることを勧める。
しかし極端にプレッシャーに弱い栄一は断るが秋田はそういう逃げ続ける栄一を許せない。
「自分から逃げ続けてるうちは一生負け犬だぞ!そういう自分とオサラバするにはもう一度自分と対決して勝つしか方法はねえぇんだよ!」
結局プロテストを受けることになる栄一。
テスト前日にカオリからの応援もあり、見事テストに合格、早速デビュー戦が決まる。
もくもくと練習を重ね、計量を終え、寝床に入る栄一。
デビュー戦を前にして興奮と緊張で寝つけない栄一。
早く明日のこの時間(試合の終わった後)になってほしい願う栄一。
この描写、リアル過ぎる…毎回試合前にはこんなこと思ったもんですわ~
試合当日、カオリもセコンドの手伝いで来てくれた。
そして、ゴング!
1ラウンド調子よく動ける栄一に秋田は期待を込める。
2ラウンドにはダウンを奪い優勢に。
しかし、3ラウンドにボディでダウン!!!
思わず叫んで、観客に正体を悟られるカオリ…
4ラウンドはどうにかしのぐが判定負けを喫する栄一…
カオリは正体がばれて写真週刊誌に載るスキャンダルに。
しかしカオリは真摯な栄一がドンドン気になる存在に。
デビュー2戦目が決まると同時に専属トレーナーをつけてもらう栄一。
2年前まで現役だった元日本バンタム級の梁瀬(やなせ)マコトがトレーナーだ。
梁瀬は言いにくい事でも冷静にズバズバ言い、栄一に対してもパンチは並と言い切るようなクールな男だった。
この男とやって行けるか不安を感じる栄一であった…
そんな時に梁瀬に後楽園ホールに試合を観に行かないかと誘われていく。
その帰り道、秋田と梁瀬は過去に試合をした同志であり、秋田のジム再興=栄一に対する期待は本物であるという事、そして梁瀬というトレーナーの本気度を知る栄一だった。
仕事を辞めた栄一は元の会社の仲間が起業したのを聞いてプログラミングの手伝いをしてお金を稼ぐことに。
打ち合わせで仲間の家に行くと同僚の女性が。
試合のチケットを買ってもらうが忘れ物を取りに行った時に同僚の女性の本音を聞いてしまう。
たかだが3万ぽっちのために命賭けて戦うなんてばからしい、そういう貧乏くさい感性が嫌だと…
そういう事にもめげずに梁瀬とともに大手ジムに出稽古に行き万全に備える栄一。
そして2戦目の当日。
この日カオリは重要なプレゼンのために応援には来れなかったが会社の同僚だった二人は来ていた。
栄一の第二戦のゴングが打ち鳴らされる。
相手はファイターとはわかっていたが、思った以上の変則ファイターで栄一だけではなくセコンドの秋山と梁瀬も計算違いで焦るほどだった…
おまけにダーティーなファイトで2ラウンド目には足を踏まれてダウンを喫してしまう…
そこで秋山は栄一を落ち着かせるために作戦をさづける。
3ラウンドは無理に行かずに相手を異調子づかせて4ラウンドラスト20秒で勝負を賭ける作戦。
4ラウンド、栄一は目の上を切る事態になるが何とか続行、ラスト20秒の合図がセコンドから。
怒涛のラッシュでゴング寸前にKOする栄一!
大逆転劇にホールは湧き、会社の同僚達も大感動!
チャラチャラした練習生、桜木道夫も試合観て感動、本気でボクシングに打ち込むようになるほどの感動を与えたのだった。
地元の家族に電話で勝利を伝える栄一だったが父親からはさっさとボクシングを辞めて就職しろと冷たく言い放たれる栄一であった…
第3戦目は新人王トーナメントにエントリーし日取りと組み合わせが発表された。
相手は、デビュー戦で最短KO記録に迫るようなKOをした選手だった。
栄一の3戦目の前に道夫のプロテストがあり、見事合格そして栄一の三戦目の日が。
元の会社の同僚が大勢で見守る中リングイン。
顔を寄せて睨みつけて来る相手選手だが、足元を見ると震えている!
冷静にそういう所をみれる様に精神的も成長した栄一。
そして、第三戦目のゴング!
ゴングとともに強引に攻め込んでくる相手選手、前回の相手はこの気迫にやられたようだ。
冷静に対応していたが強引な攻めにスリップダウンをさせられキレる栄一。
だが、あくまでもボクシングは冷静に。
2ラウンド強引に攻めてくる相手をいなしてカウンターでKO!
トーナメント勝ち上がって行く栄一。
このトーナメントを勝ち上がって行くと最後に当たるであろう選手がいる。
ゲトウィンジムの三沢聖、元学生チャンプのエリートだ。
ゲトウィンジムとアーバンジムには浅からぬ因縁があるのだった。
ゲトウィンジムの会長、姫野達也は元世界王者で王座滑落の1敗以外で勝利をものに出来ずに引き分けた相手こそが秋田だったのだ。
姫野はアマエリートでスター候補、引き分けになったものの秋田が勝ってる様な試合だったのだ。
そういう因縁があるのでアーバンジムを目の仇にしている姫野だった。
そして栄一の4戦目の日、控室に三沢が現れ、トイレに忘れていたらしい手紙があると言ってその手紙を読みだす。
それはカオリが栄一に送ったお守り代わりにしている手紙だった、怒って奪い返そうとする栄一にまずはお礼を言うのが筋だろうと挑発する三沢。
こうして二人に因縁めいたものが生まれるのだった。
そして4戦目のゴング!
精神的ショックも影響してか、集中力を欠き調子が上がらない凡庸な展開に…
しかし最後は追い上げ攻め込むも時間切れ、勝負は判定に持ち込まれるのがドロー、しかし新人王規定により栄一が勝者扱いとなりトーナメントを勝ち上がれることに。
この試合を見ていた、姫野と三沢は栄一恐れるに足らずと判断するのだった。
三沢と対戦することになる栄一。
アマエリート、三沢はこれまでの戦績4戦4勝4KO,対する栄一は4勝(2KO)1敗1分という平凡なもの。
しかし彼らはなぜかよく似ていた。
サウスポースタイルでトランクスの色、髪型そして顔までもが。
しかし、ボクシングの実力の差は大きく1ラウンドからダウンをきっする。
2ラウンド目もダウンを喫し、朦朧とする中カオリ「立て!!!」の声で覚醒する栄一!
絶体絶命のピンチからも相手に立ち向かう栄一。
ゴングに救われる栄一。
コーナーに戻った三沢は姫野になぜ倒さなかった責められるが栄一の実力を認める三沢。
一方、栄一のコーナーでは秋田がタオルを投げない宣言を。
「俺がおまえの立場なら絶対タオル投げてほしくねぇもの…」
そして、3ラウンドのゴングとともに声を揚げコーナーを出て行く栄一
(完)
この漫画はPRAのVOL4で紹介されてましたな。
作者の林明輝はこれがデビューでコレ以降も作品を発表してないみたいですが詳しいは知りません…
丹念に取材をして書いてるのが絵からも内容からも感じ取れる。
ボクシング漫画ってちゃんとルールも調べないで書いてる漫画が多いなか細かいところまで行き届いてるリアリティが素晴らしい。
この漫画はボクシングマニアにも評価されてるけど漫画マニアにも評価は良いみたい。
ジム会長の秋山のキャラも今までのジム会長のキャラって爺さんとかが多かったけど主人公とそれほど変わらない兄貴的な感じもおもろいな。
まぁ実際二代目会長って選手してない人多いというイメージあるんやけど、秋山はベルトは巻いてないけどお客を沸かした伝説的なボクサーって所も良いですなぁ~
しかし、一般の漫画好きには響かなかったようですな…
漫画にリアリティを求める人は少ないという事です。
「リングにかけろ」も最初はリアルなボクシングと人情ものの話だったのにもはやSFと言ってよい展開になって人気は爆発した。
漫画は現実を忘れさせるものでリアルな人間性を有した主人公がちまちま努力する姿に爽快感はない。
そういうモノを求める人は文学に流れていくものなんかな?
だからこの漫画は途中打ち切りみたいな感じで終ってるよう。
オイラは雑誌で漫画を読まずにコミックで読むので連載中の事はわからん。
前に途中で終ってるボクシング漫画の解説にコレ打ち切りやろうなって書いたら、マニアの奴に打ちきりじゃなく作者の不祥事で連載が終わったとえらそうに書かれた。
間違い指摘するのは良いけどなんで上から目線やねん(笑)
この漫画は本来どこまで書いていくつもりだったのかは作者しかわからん(作者にもわからん場合もあるが)けど続きみたいわぁ~