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ボクシングの事書いてます

ラッシュの王者 拳聖・ピストン堀口伝

 
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漫画、ピストン堀口物語を紹介したんでピストン堀口の活字の方のドキュメントも紹介します。
 山崎光夫 著「ラッシュの王者」です。
 この本ともう一冊山本茂の「ピストン堀口の風景」という本もあるけどとりあえずこちらの紹介。
 
 ピストン堀口の孫、堀口昌彰の試合を見つめるジム会長であり父親でもある堀口昌信。
 作者は隣に座り昌彰の試合を父親である昌信とともに観ていると昌信は意外な言葉を。
 「ボクシングの基本はアウトボクシングです」
 そう、あのラッシュの嵐で人気を博した拳聖、ピストン堀口の息子が父親のボクシングを否定したのだった。
 孫の昌彰も同じように祖父のボクシングには否定的だった・・・
 ピストン戦法は受け継がれるものではなくピストン堀口一代限り唯一無二の戦法となってしまったようだ。
 
 作者はピストンの死因を調べるために未亡人を尋ねる。
 ピストンの亡くなった理由は列車に挽かれた事故というのが一般的だが中にはは自殺説、他殺説などもあったのだが一番知られているのがパンチドランカーで列車が来るのに対応できなかったというものだろう。
 しかしそれを未亡人は真っ向否定!ピストンはパンチンドランク症状はなかったと断言するのだった。
 オイラ、ピストンを一番に知ったのは「空手バカ一代」という漫画に出てきたから。
 「空手バカ一代」は極真空手総裁のマス大山の伝記漫画でノンフィクションという振れ込みだったので(大半は梶原の創作だったのだが)その中でピストン堀口はパンチドランク症状で列車に向かっていき撥ねられていたのでそれをずっと信じてたのでこの証言にはかなりショックを受けたなぁ。
 自殺説も息子、昌信にのんきな性格だったし、これからジム経営に乗り出して意気揚々だったのでありえないと否定される。
 元ボクサーで運動神経や反射神経が良いはずなのに列車をよけられなかったのはパンチドランカーだったからとかという説があるが、元ボクサーだろうが事故には合うし運動神経鈍い人でもとっさに避けることもあるでしょう?。
 これは物事を一方的な思い込みでしか見てない証拠やと思う。
 オイラ、元ボクサーやけど運動神経はあんまり良いほうではないし不器用でドンくさい(別にドランカーではない)。
 ピストン堀口のライバルと言えば槍の笹崎こと笹崎僙(たけし)。
 作者は笹崎にも取材を。
 笹崎はピストンの活躍に触発され上京ボクシングを始める。
 しかし途中で戦争に召集され戦場へ。
 そのときに白内障を患い左の目はほとんど見えない状態だったらしい、だから片目でピストンとの激闘を戦っていたのである。
 二人の対決はお互いのマネージャーの確執などからなかなか実現されなかったが笹崎の挑戦状が功を奏し対決へ!
 この世紀の一戦と言われた名勝負は笹崎の敗北で終わるのだが、笹崎はピストンのタフさに驚愕したそう。
 槍といわれた自分のストレートで相手をバタバタ倒してきた笹崎には本当に信じられん思いやったんちゃうかな?
 終戦後にこの対決は再び行われピストンは初めてカウントをとらるのだった(ノーカウントのダウンはそれまでに二度ほどあった)
 この試合は引き分け、二人は5度戦い笹崎の2勝1敗2引き分けとピストンが負け越してるのだ。
 一度は引退をしたピストンだったが、弟の堀口宏(元日本チャンピオン)が怪我をしたのをきっかけに穴を埋めるためにカンバック。
 一度は日本ミドル級王者になるなど奇跡を起こすがその初防衛にも敗れ惨めな姿をさらす・・・
 ピストンは40,50の堀口を見てくださいと行っていたがとうとうグローブを置くことに。
 作者はこの晩年の試合を手を尽くして見ることに成功するがそこに映ったピストンは全盛期の姿ではないであろう惨めな醜態を見せていた。
 作者はピストンの死亡を確認した医者を探し出し取材を慣行する。
 亡くなったピストンの拳は硬く握られていた、そうファイティングポーズをとる様に・・・
 
 第二章はピストンの日記を紹介。
 その日記からは真摯でやさしく生真面目なピストンの性格がうかがわれる。
 第三章では昌彰の日本タイトルマッチが始まるのをリングサイドで見つめる作者。
 昌彰は日本J・ライト級王者鈴木敏和に挑むのだ。(ちなみに鈴木敏和はオイラの高校の先輩、面識はないが)
 その試合をダウンを奪いながらも一方的な判定で敗れる昌彰。
 自分と同じ轍を踏んだ(アマチュアで挫折)息子をどう思うのか・・・
 作者がピストンに興味を持ったのは自分がジムに通い更衣室にあった古い雑誌に載っていたから。
 ピストンの不世出の大記録47連勝の精細を調べ郡司信夫に取材、この記録はコミッションがないころからの郡司の記録がソースであることを突き止める。
 
 この本はピストン堀口に興味を持った小説家の執念の取材記録というわけですな。
 この解説イマイチわかりにくいのは本の内容がピストンの軌跡と作者の取材やインタビューを交互に書かれてるんでちょっと解説というか内容をまとめるのが難しかった・・・
 わかりにくくてすいせん。