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ボクシングの事書いてます

ながやす巧作品集 「チャンピオン」

 
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               今回はながやす巧作品集の中から「チャンピオン」を紹介します。
 
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             「チャンピオン」原作は史村翔、[北斗の拳]の原作者、武論尊の変名ですな。
           ちなみに武論尊ペンネームはチャールズ・ブロンソンに似てるからだったと思います。
 本宮ひろ志自衛隊の同期かなんかやったんちゃうかな?
 「俺の空」って漫画の中で武尊善行とか言う名前でそっくりなキャラが出てます(笑)
 で、作画家ながやす巧梶原一騎、原作の名作「愛と誠」の作画で有名、ボクシング漫画[「リングの鷲」も描いてます。
 
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 この人の絵はオイラ好きですなぁ、元々劇画調の方が好きですが、この人の絵は丁寧に書き込んでて好みです。
 
 では、内容を
 
 尾藤精一は若いころに勢いに乗って無敗で世界王者に挑戦してKO負けした現日本ミドル級王者。
 当時は東洋のベルトも持っていたが世界タイトルの二年後その東洋タイトルも奪われ無敗で勝ちあがっていたころに居た取り巻きも今は居ない…
 セコンドにつくのは昔からの馴染みの佐山のみ・・・
 佐山とは世界タイトル挑戦時に勝ったら俺を担ぎ上げろと約束するような仲だった。
 世界に敗れ、東洋タイトルも失ったが日本王者としては10年の大ベテラン。
 しかし、この日の対戦相手は7戦7勝7KOのホープ香坂英二、峠を越し35歳になっていた尾藤にはまず勝ち目がないと思われるようなマッチメークだった。
 なじみの記者、谷でさえ批判を通り越して胸が悪くなると吐き捨てるような試合だった。
 そして、ゴング、百年に一人と言われる逸材である香坂の早いジャブが尾藤に突き刺さる。
 スピードも違えば勢いも違う、1ラウンドから差をつけられた状態だった。
 そして第二ラウンド。
 香坂は幼いころよりボクシングを叩きこまれ目的はただ一つ世界王者という迷いのない若武者。
 その香坂が容赦のない攻撃、右ストレートで尾崎からダウンを奪う。
 その後も一方的な試合展開が続き、ラウンドを重ねていき、もう6度目のダウンを喫していた…
 
 周りからはなぜこんな無茶なマッチメイクを受けたのかと言われていた。
 日本王者のまま引退すれば栄光のうちにやめれるじゃないかと。
 
 何度倒してもたってくる尾藤にいらだちを感じる香坂。
 強引に倒しにかかる香坂のパンチを尾藤が額で受けとめ血みどろになりながら香坂に語りかける。
 「そんなきれいな顔じゃ、世界はつかめねぇよ・・・ 世界をつかむのは…このオレだ…」
 怯んだ香坂に必殺の右ストレートを打ち込みダウンを奪い、そのまま1カウントアウトで大逆転勝利。
 佐山に尾藤が聞く。
 「俺はまだやれるか?」
 答える佐山
 「あぁ、やれるとも、やれるともさ!」
 「じゃぁ、次は世界だ!俺は本気だぜ」
                                          <完>
 
 
 正直、ながやす巧の絵は良いんですがあまりにも内容が安直すぎました…
 こういう短編でのボクシング漫画ってしょうがないけど一発大逆転!って感じでハッピーエンドが多いような気がする。
 まぁ主人公が負けたらカタルシスを感じれないからしょうがないんやけど「ロッキー」のように試合で負けても人生に打ち勝ったみたいな感じの方がリアリティがあるような感じがする。
 でも現実にこういう事が起こってしまう事もあるんで絶対に嘘とかありえんとは言えませんが。
 それよりも負けた英才教育の天才若手ボクサーの今後が気になるのはオイラだけでしょうか?
 
 ちなみにこの漫画にはアリスの名曲「チャンピオン」が効果的に使われてました。
 アリスの「チャンピオン」は王者が若手に負けて王者を追われるという悲哀の物語を歌ったものですが、年老いた王者が大逆転で若手を倒すという親父の夢、チャンピオンで歌われている事の真逆、現実の厳しさを否定したお話です。
 だからリアリティ云々じゃなくこれは親父のファンタジーでしょうなぁ。
 
 リアルに考えるといくらロートルとはいえ日本王者の付添いに人を一人しか付けないようなジムが35歳の日本王者のそれもミドル級での世界タイトルを組むとは考えられません(笑)
 こういう業界のリアルを知ると漫画を純粋に楽しめなくなるんです…
 
 今回紹介した「チャンピオン」以外の漫画、お勧めは「鉄道員(ぽっぽや)」です。
 オイラ、鉄道員の映画、観に行ったんですが映画より漫画の方が断然良かった。(原作は読んでません)
 映画は最後の泣かせる場面で広末が出て来るんですが全部台無しにしてました…
 オイラ当時、広末が結構好きやったんやけど見てて健さんが可哀相になりましたから。
 この本には収録されてないですがながやす巧浅田次郎のコンビでもう一本「ラブレター」と言うのもあるんですがこれも素晴らしかった。
 この2本は漫画読んで号泣しました(笑)