美談の男 冤罪 袴田事件を裁いた元主任裁判官熊本典道の秘密
今回は、尾形誠規 著 「美談の男 冤罪 袴田事件を裁いた元主任裁判官
熊本典道の秘密」の紹介を。
この熊本典道という人は映画「BOX 袴田事件 命とは」で萩原聖人が演
じてた人。
前に紹介した本「裁かれるのは我なり 袴田事件主任裁判官三十九年目の真実 」 の主人公でもある。
裁判官には事件の守秘義務というのがあるのにそれを破ってまで告白をした
ことにより、この熊本さんは批判とともに賞賛の声が上がった。
言わなければそれですむものを自己を犠牲にしてまでよく言ってくれたとい
うことである。
批判はやっぱり、守秘義務を破ったことだがもう一つ。
この人なんでいまさら?お金のため?ってやつである。
この本の作者の尾形って人は作家ではなく編集者らしいのだが熊本さんの告
白をテレビで見て感動して泣いたらしい。
そして興味を持って直接に会いに行くのだった。
裁かれるのは我なりでも、BOX袴田事件でも主人公は完全なる善人として
描かれている。
正義感が強すぎてそれによって人生が崩壊していったようにしか見えない。
では、実際はどうなんやろうか?
ボクシングのテレビのドキュメントや本を読んでても取材対象のボクサーは
本当に良い人に描かれてる場合が多い。
でも実際は最悪の人間性だったりするという話は聞く。
作者は、この美談の男、熊本元裁判官の真実を追求していく。
ただ、週刊誌でありがちな世間で騒がれた人の裏を暴いてこいつは本当は良
い人じゃないぞ~!って言いたくてやってるわけではない。
この熊本さん、映画や本では完全に袴田事件のせいで人生が破棄したように
書かれているが身近な人の意見は違うかったりする。
酒のせいという意見が多いなぁ~
でもやっぱり根底に袴田事件があるというのもうなずける。
この人二度の離婚歴があるけど、ちょっと性格的に問題ある人のよう(笑)
でもなんやかんやと女性と縁がある、つまりモテるんやろな。
二度目の妻の娘がかなり嫌がってた。
逆に一度目の妻の息子は面識がほとんどないので好意的だったりするんやけ
ど。
この本かなり面白かった。
美談の男をここまでひん剥いて描くなんて普通ではありえないもんな。
今まで袴田事件関連の本、結構読んでるけどどれも読んでて腹立つことばっ
かりやった。
この本は決して笑うような本じゃないけど人一人の人生を掘り下げていくと
いうのは面白い。
ただこの国家が行った犯罪はいまだに解決されていない。
ハッピーエンドを迎えるためには袴田さんを無罪放免にするしかない(それ
でも時間はかえっては来ないが)。
残された時間は少ないのだ…